Category Archive: 町ねこ調査隊塾

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公開講演会「町ねこ調査を始めよう!」

公開講演会「町ねこ調査を始めよう!」:身近にいる町ねこたちについてもっとよく知ってみませんか?

日程:2011年6月12日(日)

場所:メルカつきまち(長崎市築町)

講師:山根明弘氏(北九州市立いのちのたび博物館・学芸員)

参加者:38名

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「町ねこ調査を始めよう!」山根明弘

 私が塾長の中島由美子さんに初めてお会いしたのは、2010年(平成22年)9月にながさきペンギン水族館で行われた動物愛護フェスタの時でした。講演後の質疑応答時に「平和の町、ここ長崎で、不幸な猫をなくすにはどうしたらいいのでしょうか?」と熱心に質問をくださる方がおられました。その方が中島さんでした。

 後日、中島さんからご連絡をいただき、長崎伝習所に応募されるとの旨、おうかがいしました。そして見事、審査にパスし長崎の町ねこ調査隊塾が結成されたことをお知らせいただきました。

 2011年6月の「町ねこ調査を始めよう!」の公開講演会にご招待いただき、激しい雨のなか(長崎に来るといつも雨です)集まってくださった皆様を前にお話をさせていただきました。ちょうどこの頃、北九州でのねこ調
査は、いろいろな問題に直面していましたので、そのことについても包み隠さずお話いたしました。それがかえって、会場のみなさんの心をつかむことにつながったのでしょう、たくさんの励ましのお言葉をいただきました。

 この講演会そして、その後の北九州での塾生のみなさんとの交流会を通じて、私は地域間のネットワークがいかに重要で、そのつながりが各地域での活動の活性や、持続につながるかを知る事ができました。平和のまち長崎でのこの活動が、全国に広まってゆくことを期待しています。

 上記の文章は研究成果報告書掲載のため、山根さんから寄稿していただきました。感謝申し上げます。
 講演会当日の長崎はバケツの水をひっくり返したような大雨でした。山根さんを乗せた列車も大幅に遅れ、やや開始時刻を遅らせ、慌ただしく講演会は始まりました。
 1部「相島でのノラネコ調査」
 2部「北九州市のネコ実態調査隊」
 3部「これからの課題」
について、山根さんはとてもわかりやすくお話してくださいました。後半は質問タイム。休憩時間に会場から集めた質問を中村副塾長がまとめ、山根さんに答えていただきました。質問も多く、また回収しましたアンケート用紙にもたくさんのことが書かれていて、参加者の熱気を感じました。

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長崎伝習所平成23年度研究成果報告書(4) 塾生の感想

「長崎の町ねこ調査隊塾」に参加して

長崎の町ねこ調査隊塾に入り、あらためて猫の実態を垣間見ることができました。町ねこは自分の意志ではなく生かされている。私は猫をみると「頑張ってるね!」と声をかけてしまう。暖かい春の日射しを浴びている時は穏やかにくつろいで見えるが、極寒の冬はさぞかし辛いことだろう。しかし彼等は懸命に生きている。人間の英知で不幸な子猫を産まないよう環境を整えたい。そして保護できる施設を心から欲しいと思う。猫は私達人間にとってかけがえのない仲間なのだから。(S.E)

「町ねこ調査隊」と聞き、不思議な好奇心にかられて1年。猫に関する自由研究を塾長 、副塾長を中心に築いてきました。心がとても温かくなり笑顔が絶えない1年でした。次年度も、さらに皆さんとともに勉強したいです。(T.O)

たかが猫と思っていた町ねこは、1年間のつきあいの中で、町の人、旅人にとって癒しの存在であることに気付いた。さらに調査を広げて、町ねこの存在をより高めていきたいと思う。(M.O)

無理に親から引き離され、簡単に捨てられた子犬や子ねこたちを待っているのは殺処分です。そのことを思うと、とても辛く、心が痛みます。人間も動物も姿形が違うだけで同じ命なのです。殺処分を廃止して、動物保護センターを作りたい。そのためにはたくさんの人に呼びかけ、話し合いの場を設けたいと思います。(Y.O)

単独行動のネコたちも生活環境によっては群れて暮らすということを山根明弘さん(北九州市立いのちのたび博物館)から学びましたが、長崎の町ネコとの出会いだけでなく、ネコ仲間と群れることが出来て嬉しい塾でした。(K.K)

我が家には2匹の猫がいます。塾生の中にはたくさんの飼い猫がいてその上保護のため一時預かりをしている「つわもの」もいらっしゃいます。長崎は猫の多い町と耳にします。猫との共生を私なりに考えるために町ねこ調査隊に参加しました。私達の活動を基に野良猫を排除するのではなく、共生できる町になるといいですね。(M.K)

人目を憚ることなくねこへにじり寄り存分に撮影や観察ができたこと、また、コミュニティーとしての「町」について考えるきっかけにもなった、楽しく充実した1年でした。(Y.S)

テレビで「地域猫の活動」を知り、猫が取り持つ人の和に期待して、この塾活動に参加しました。塾では、猫に関する知識を得、身近な「町ねこ」たちを観察することで、私自身が「町ねこ」たちに成長させてもらった1年でした。
追伸:害獣ネズミの天敵である「町ねこ」の役割にも改めて着目したいと思っています。(M.T)

もともと子ねこの里親さん探しや地域ねこ活動をサポートするボランティアから、この町ねこ調査に足を踏み入れることになりました。「ふつうの人々」が町でみかけるねこにどんなふうに接しているのか、改めて気づかせてくれた調査隊塾にはとても感謝しています。塾長の中島さん、塾生の皆さん、1年間おつかれさまでした。これからも続けていきたいですね。(J.N)

山と海、古い町並みの残る長崎には、ゆったりと寝そべる猫の姿がよく似合います。町ねこ調査を通じて、猫と人とが気持ちよく共存できる社会を実現できるよう、これからも活動を続けたいと思います。(H.H)

もともと猫が大好きで参加しましたが、塾の活動を通して、「猫が好きじゃない人」「関心がない人」についても考える機会を得ました。町ねこを考えることは人と地域社会を考えることだと実感しています。(K.M)

久しぶりに塾に参加した。猫を愛する心優しい人々と会っていると他の事は忘れて猫の事だけを考えている。猫が学問になるとは今まで考えたこともなかった。動物たちも幸せに生きていけるやさしい町であって欲しい。(H.M)

当初からその困難さは予想されてはいました。生態学の研究に端を発した本調査が、ねことの共生への道しるべとして実用化たり得るのか? 非常に難しい課題への取り組みと言わざるを得ません。しかし「誰かが行動を起こさなければ状況は変化しない」という、塾長のはやる思い・熱意に動かされ、模索しながらの活動を続けています。調査データの集積が思うようにいっていない現状ではありますが、「うさぎとかめ」のかめのごとく、ゴールを目指して小さな歩みを進めていきます。(事務局=H.H)

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長崎伝習所平成23年度研究成果報告書(3) 町ねこ調査の経過について

町ねこ調査の経過について

・町ねこカルテ

2011年5月に長崎町ねこ調査隊塾が発足してお互いの顔合わせが済み、各塾生の「ねこエピソード」を述べ合ったりして連帯感を高めたあと、いよいよ「町ねこ調査」なるものの実際を定例会で取り上げたのは6月4日のことだった。できあがったばかりの「ながさき町ねこカルテ」が塾生に配布される。A5横サイズのカードの左側にはねこの名前や性別、記録場所などの記入欄とメモスペース、右上にはねこの大きさやしっぽの長さ・太さ、毛色・毛柄などの記入スペース、そして右下にはひときわ目を引くねこの顔と体のようすを描き込むための「塗り絵」欄。

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【町ねこカルテイメージ】

「これさえあれば、誰でも、どんなねこでもきっと識別調査ができます」――とは言っても、これまでの各塾生のねこへの関わり方はさまざま、20匹以上の保護ねこを抱えて獣医顔負けの知識を持っている塾生もいれば、これまで特にねこを飼ったことがない塾生もいる。「最低限これだけは共有しておこう」と作った資料は、(1)ねこの毛色・毛柄の表し方、(2)細部の特徴への注目のしかたにポイントを絞った。

・ねこの細部に注目する

「茶色の縞々のねこは、黄土色の地に赤茶の縞を持つ〈チャトラ〉と、薄茶色の地に焦茶の縞をもつ〈キジトラ〉がいる」「黄・茶・黒の3色が入り混じった複雑な模様のねこを〈サビ〉という」「三毛猫のぶちは手足や顔・胴のどの部分にどんな色が入っているだろうか」「チャトラの額にはM字の縞か平行縞かどちらがあらわれているだろうか」などなど、実際の長崎の町ねこを撮影した写真をもとに、みんなでわいわい話しながらチェックしていく。

「あら、うちの前飼っていた子にそっくり」「この子は鼻の部分のぶちで器量が台無しねえ」「ひとことで〈三毛〉と呼んでいたけど、一匹一匹柄がこんなに違うもんかね」。写真をカルテに描き込んでいくうちに、ねこの体の隅々にまで注意を払うようになっていく。しっぽの長さは? 太い?細い? どこかに特徴的な柄は? この模様はいったいなに色の毛が集まって表われるのか? おなかの白い部分はどこまで?

・カルテを持ってまちに出る

ひとしきりカルテと格闘してから、いよいよ実地に繰り出した。場所は市民会館から寺町周辺、ねこがすぐに見つかるかどうかが懸念されたものの、すぐにとびきりフレンドリーなクロ、サビ、シロたちに出くわす。写真撮影とカルテ作成の2人1組で分担のはずだったが、まずはみんなねこをナデナデ……ナデナデ……ナデナデ……と、ねこ好きぶりを各自遺憾なく発揮。

結局最初のねこたちを20分近くもかまった(かまわれた?)あと、次のねこ探しへと移動して、またそこでもナデナデして写真を撮ってカルテを描いて、都合1時間ほどかけて15匹ほどのねこたちに出会ったのが、町ねこ調査隊塾での初町ねこ調査だった。

・ねこを「識別」する

大事なのはその次の回、6月19日の定例会。「前回識別してカルテにした町ねこを、今回も識別できるか?」 それができてこその「個体識別」であり、継続調査としての価値が出てくるのだが、果たしていかに――と、これまたうまい具合に、4日の調査の時に顔だけ記録したら逃げてしまった三毛の子ねこのカードと、目の前で走り回っている三毛の子ねこの柄がぴったり重なった。「おお!」と感動する間もなく、急いで体と手足の特徴をカードに追記する。写真班も何枚か三毛の写真を記録に収めて完成した町ねこカルテは、後日開かれた「ながさき町ねこ写真展」でも展示された。

効果が実感できればしめたもので、この日はそのまま延命寺まで足をのばし、識別しづらいキジ・サビねこの多さにたじろぎつつも、カルテの枚数は着実に増えていった。

・データを蓄積する

秋頃までには、調査技術にも次第に磨きがかかり、単独で写真撮影・カルテ作成と継続観察を行なう塾生もぼちぼち現れるようになった。その結果の一部は今年度の塾成果のひとつである『ながさき町ねこハンドブック』に掲載されている。

2011年度末現在で、ある程度の分量の調査データが蓄積できた地区は寺町周辺、西坂公園周辺、住吉町、長崎大学文教キャンパスの4か所、1回~数回の単発調査を行なった地区は伊良林、新大工町・桜馬場・鳴滝周辺、丸山町・寄合町・中小島周辺、十人町・中新町・館内町周辺、ダイヤランドの一部、曙町、青山町などとなっている。

・町ねこ調査から見えてきたこと

これらの町ねこ調査を通じて見えてきたことはいくつかあるが、何よりも重要な点は「調査をすることによって初めて、自分が今までいかに漠然としか町ねこを見ていなかったかを実感した」という点である。塾生は(濃淡こそあれ)ねこは好きであり、みな自分なりに関心を持ってこれまでも町ねこに目を向けてきたつもりだったが、調査のために路地を一本一本入り、家と家のすきまをのぞき込みながら歩くことで、思いのほか豊かな町ねこの世界を垣間見ることになった。そしてまたその町ねこの世界は密接に私たち人間の生活空間とつながっていて、ねこ好きもそうでない人も町ねこも否応なしに併存していることも痛感させられた。

裏を返せば「町ねこ調査をする」ということは、そうした「人間とねこは同じまちのなかでともに暮らしているということを改めて考え直す」機会だと言える。町ねこのカルテを1枚1枚描くことを通して、それぞれのまちの人間とねこの関係は、ありありと見えてくる。丸々と太って幸せそうなのか、毛並みもやつれお腹をすかせてうろついているのか。たくさんの子ねこが生まれたと思ったらいつの間にかいなくなるまちもあれば、迷い込んだノラネコに優しく手をさしのべるまちもある。ペットボトルやねこよけの並ぶまちなみのすぐ隣には、きれいに手入れのされたフラワーポットのそばでねこがのどかに昼寝をするまちなみが連なっていたりもする。

少し大げさな言い方をすれば、「町ねこは、その町を映す鏡である」ということになるだろうか。願わくは、すべてのまちで人とねことが宥和して暮らすことができますように。

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長崎伝習所平成23年度研究成果報告書(2) 活動記録

2011年5月13日(金)長崎県勤労福祉会館
長崎伝習所「塾」開所式
塾生顔合わせ
2011年5月28日(土)アマランス会議室1
公開講演会、町ねこ調査の事前準備
2011年6月4日(土)アマランス会議室1
町ねこカルテの説明
寺町周辺の町ねこ調査(第1回)
2011年6月12日(日)メルカつきまち会議室
公開講演会「町ねこ調査を始めよう!」
2011年6月19日(日)中央公民館第3研修室
講演会について意見交換
寺町周辺の町ねこ調査(第2回)
2011年7月2日(土)アマランス会議室1
町ねこ写真展の提案
寺町・中通りの町ねこ調査(第3回)
2011年7月17日(日)市立図書館研修室1~3
オーストラリアRSPCAの活動についてのレクチャー
町ねこカルテの描き方を習熟
2011年8月6日(土)アマランス会議室1
北九州市見学の下見報告
寺町周辺町ねこ調査(第4回)
2011年8月10日(水)ランタナ会議室
町ねこ写真展の写真選考
2011年8月12日(金)カフェ豆ちゃん
町ねこ写真展の写真最終選考
2011年8月21日(日)アマランス会議室1
町ねこ写真展、北九州市見学ツアーについて話し合い
2011年8月29日(月)カフェ豆ちゃん
町ねこ写真展の展示作業
2011年8月31日(水)~10月2日(日)カフェ豆ちゃん
「ながさき町ねこ写真展」開催
2011年9月3日(土)アマランス会議室1
町ねこ写真展の経過報告
長崎大学文教キャンパス内におけるねこ調査について報告
2011年9月18日(日)北九州市
北九州市ネコ実態調査隊の見学と意見交換
2011年10月1日(土)市立図書館研修室1~2
町ねこ写真展について意見交換
北九州市への見学ツアーの報告
2011年10月16日(日)アマランス会議室1
寺町周辺・新大工町周辺の町ねこ調査(第5回)
2011年11月5日(土)アマランス会議室3
「ながさき町ねこハンドブック」について話し合い
寺町周辺の町ねこ調査(第6回)
2011年11月20日(日)アマランス会議室3
「ながさき町ねこハンドブック」について話し合い
寺町周辺の町ねこ調査(第7回)
2011年12月3日(土)アマランス会議室1
「ながさき町ねこハンドブック」の割り付け
伝習所まつりの企画について話し合い
2011年12月18日(日)アマランス会議室3
「ながさき町ねこハンドブック」について
伝習所まつり企画と当日の運営について
塾の継続申請と次年度の企画について
2012年1月7日(土)市立図書館研修室1~2
九州女子大学内キャンパス猫愛護の会さん来訪
「ながさき町ねこハンドブック」の原稿を入稿
2012年1月22日(日)アマランス会議室1
「ながさき町ねこハンドブック」修正作業
これまでの塾活動について意見交換
2012年2月4日(土)アマランス会議室3
「ながさき町ねこハンドブック」の校正
研究成果報告書について話し合い
2012年2月18日(土)アマランス会議室3
「ながさき町ねこハンドブック」最終校正
伝習所まつりについて打ち合わせ
2012年3月3日(土)ランタナ会議室
伝習所まつりについて打ち合わせ
2012年3月20日(祝)ベルナード観光通り
長崎伝習所まつり
調査内容パネルの展示、クイズなどを実施
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長崎伝習所平成23年度研究成果報告書(1) 塾長コメントと塾概要

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「長崎伝習所」平成23年度研究成果報告書ができあがりました。「長崎の町ねこ調査隊塾」のほか、「ナガサキポルトガルシルシル塾」「長崎ビューポイント探訪塾」「坂のまち長崎なのに自転車塾」「孫文・梅屋庄吉と明治大正長崎事情塾」「在京長崎うまかもん塾」「『エコ名人を探せ』塾」「川さるく森川里海塾」「長崎洋館音楽舞踏塾」の研究成果報告、それに、長崎伝習所つながり事業(まちコツアカデミー事業・まちづくりリーダー育成事業・特別講座(自分新化講座))の成果報告など、A4判152ページからなります。市民活動センター「ランタナ」(長崎市馬町21-1)で配布しています。

そのなかから、町ねこ調査隊塾の部分を抜粋して、何回かにわたってご紹介します。初回は、この塾活動の改めての紹介として、塾長コメントと塾概要から。


■塾長コメント:<少し長い前置き>

ねこを飼ったこともなく、とくべつにねこ好きでもない私でしたが、この1年あまりですっかり“町ねこ”に魅せられてしまいました。ねこは単にねこの世界だけに生きているのではなく、その背景には人の暮らしがあります。ねこと言えどもその奥は深く、町ねこを通して、これまで気付かなかった人と町の新しいつながりを見つけることができました。

「町ねこってなに?」「ねこを調査する? 何のために?」と、よく聞かれます。ねこが好きで集まった塾生も、たぶん同じ気持ちだったと思います。町を自由に歩き回るねこたちの生態を調査する、全国でもほとんど例をみない新しい試みに挑む私たちをリードしてくださったのは、ねこ調査の先達である山根明弘さんです。山根さんをお招きしての公開講演会「町ねこ調査を始めよう!」は、その後の塾活動の指針になりました。ねこ調査や塾活動の詳細については、この後に続くページを読んでいただければと思います。

塾がスタートしたばかりの頃、塾生にとってねこはかわいいだけの存在でした。しかし1年の活動を経て、塾生の多くはねこと地域の関係に思いを巡らすようになりました。そして、長崎の町ねこ調査隊塾は、長崎市以外の活動ともつながり始めています。ねこと人が共に平和に暮らす町をめざして、ねこのようにしなやかに、これからも活動を続けて行きたいと思います。

■塾の目的:<町ねこ調査から見えてくるもの>

・町ねことは?

まちなかで見かけるねこのことです。いわゆるノラネコのほか、家の中と外を行き来する飼いねこも含みます。車の入らない狭い路地、急な坂道や階段など、長崎に点在する独特のまちなみの中を、町ねこたちは自由に歩き回ります。

・町ねこ調査は何をするの?

まず、調査をするエリアを決めます。つぎに1頭、1頭のねこの特徴をカード(ながさき町ねこカルテ)に記入します。それぞれのねこを区別(個体識別)できるようになったら、そのねこを見つけた場所を地図上にマークします。ある程度の期間これを続けていくと、そのエリアのねこの頭数と行動範囲がわかります。

・「餌やりさん」と「ねこ困りさん」

長崎でよく見る車の入らない狭い路地、急な坂道や階段は、ねこにとって安心安全な場所です。そこにはとりわけたくさんのねこたちがいて、ねこスポットになっています。このねこスポットには、ねこをかわいがり餌を与える「餌やりさん」がいます。が、一方には、ねこの糞尿に困っている「ねこ困りさん」もいます。餌やりさんとねこ困りさんの対立は、時としてやっかいなご近所トラブルになります。

・ねこと人が共に平和に暮らす町

ねこは人から餌をもらわなければ生きていけません。人にすがるねこの命を守りたい餌やりさんとねこのいない快適な住環境を望むねこ困りさん、相反する気持ちのどこかで折り合いを付けられないか、その方法をさぐるために、町ねこ調査を生かしたいと考えます。「長崎はねこの多かけん」とよく言われます。それは小さな命を大切にするゆとりが長崎の町にあるからだと思います。このゆとりを生かした町づくり、それも長崎の町ねこ調査隊塾の目的です。

■塾の研究・活動内容

・町ねこ調査(長崎市内における町ねこの調査)

調査場所:寺町周辺、西坂公園、長崎大学構内、住吉町

・公開講演会「町ねこ調査を始めよう!」

日程:2011年6月12日(日)
場所:メルカつきまち(長崎市築町)
講師:山根明弘氏(北九州市立いのちのたび博物館学芸員)

・ながさき町ねこ写真展

日程:2011年8月31日(水)~10月2日(日)
場所:カフェ豆ちゃん(長崎市東古川町)

・北九州市ネコ実態調査隊見学ツアー

日程:2011年9月18日(日)
場所:北九州市立いのちのたび博物館内・門司駅前柳町周辺

・広報活動

『ながさき町ねこハンドブック』作製
長崎の町ねこ調査隊塾のブログの立ち上げ
メールマガジン「町ねこ通信」配信

・新聞各社による報道
  • 2011.5.27『毎日新聞』「街の猫 調査を開始」
  • 2011.6.9『長崎新聞』「町ねこ調査を始めよう!」
  • 2011.8.24『毎日新聞』「気ままに愛らしく 町ねこ写真展」
  • 2011.8.31『長崎新聞』「町ねこの魅力伝える。きょうから写真展」
  • 2011.9.1『読売新聞』「町ねこ写真展 来月2日まで」
  • 2011.9.2『西日本新聞』「人との共存目指し写真展」
・テレビ、ラジオによる報道
  • 2011.8.31 NBC長崎放送
  • 2011.8.31 NIB長崎国際テレビ
  • 2011.9.1 NHK長崎放送局
  • 2011.9.2 KTNテレビ長崎
  • 2012.2.18 NBCラジオ「UP×3」

■塾活動の成果

・町ねこ調査から広がる視点

塾生の視線は、愛らしい存在としてのねこだけではなく、ねこを取り巻く社会環境にも注がれてきました。町ねこの生態調査と合わせて、ねこに対する人の意識調査を始めようとしています。

・命の教育へ

子どもたちにこそ、町ねこ調査を体験して欲しい。ねこの生きる姿を観察することは、命について考えることにつながるのではないか、そんな意見も出てきました。

・ネットワークを結ぶ

 町ねこ調査に関心を寄せる人たちが、少しずつ増えてきています。長崎から町ねこ調査の情報を発信し、そのネットワークを広げて行きたいと思います。

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ながさき町ねこハンドブック(2012年4月6日毎日新聞地方版)

毎日新聞地方版(2012年4月6日付け)より転載します。


ながさき町ねこハンドブック:特徴や「出会い率」も 「調査隊塾」、人との共存探る/長崎

長崎市の市民グループ「長崎の町ねこ調査隊塾」(中島由美子塾長、約30人)が市内の猫を調査した成果を「ながさき町ねこハンドブック~ねこを探して、町歩き~」にまとめた。猫が好む坂や狭い路地が多い街で、猫の実態を把握して殺処分を減らし、人間と共存する方法を探るのが狙いで、「参考にしてほしい」と呼び掛けている。【釣田祐喜】

調査は、市民の街づくりを支援する市の「長崎伝習所」の11年度委託事業として実施した。ハンドブックでは、昨年5~11月、塾生が週2~3回の観察を続けた市内4エリアの情報を、マップや写真、コラムなどで紹介した。

同市寺町周辺に関しては、一匹一匹を撮影した写真に「しっぽあるの?ってくらいのちょびしっぽ」「時には眼鏡橋を越えて市民会館の方まで遠征しています」などと、体の特徴や生息地域の説明を添付。遭遇のしやすさを足跡の数の多さで表した「出会い率」もつけた。

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長崎市の町ねこは幸せか?

幸せなの? 不幸なの?

 この冊子を手にした方は「ハンドブックを作ってもらえるなんて長崎市の町ねこは、きっと幸せなんだろうね~」と思われたことでしょう。しかし、現状は、YESでもNOでもないのです。

 まず、当市のねこの致死処分数をご存じでしょうか? 平成22年度、その数は東京都(八王子市と町田市を除く)とほぼ同数に至るのです。「そんなバカな。だったら不幸じゃないか!」

 確かに数字上は不幸です。しかし、そのことは、長崎の市民性とも言える、ねこを可愛がる方が多いことも示しているのです。「いったいどういうこと?」

 

餌やりさんとねこ困りさん

 通称「餌やりさん」と呼ばれる、餌にありつけていないであろうねこを見ると、たまらなくなって餌を与えてしまう方が一方にいます。そしてもう一方には、糞尿等の被害を受けて困っている方、つまり「ねこ困りさん」もいます。長崎市にはどちらの方もたくさんいます。

 両者は長年の反目の末、次のような二通りの結果に至ります。ねこ困りさんの抗議に耐えられなくなった餌やりさんが、やむなく自分でねこの引き取りを行政に求めるケース。逆に、抗議の声は届かず、糞尿等の被害がエスカレートして耐えられなくなったねこ困りさん側が引き取りを求めるケース。これらが致死処分数を押し上げているのです。

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「無関心」が不幸を招く

 それでは、ねこ困りさんは愛猫家にとってねこ嫌いの、すなわち敵なのでしょうか? いいえ、そうではありません。ねこに関心を抱き、問題を顕在化させ、正しい飼い方を気付かせてくれる存在なのです。

 死後福者となられたマザー・テレサは生前、「愛する」の対義語は「嫌う」ではなく「無関心」だと仰いました。近年、他者への無関心が地域社会の崩壊を招いているとの指摘があります。地域におけるノラネコの増加は、餌やりさんの存在だけが原因ではなく、地域社会で孤立した単身者・高齢者が飼養困難となった末に放し飼いしてしまうこともまた大きな要因の一つなのです。

 

幸せにできるのは誰?

 本冊子を手にされた方は、既に無関心ではないはずです。(1)室内飼い (2)不妊手術の実施 (3)所有者明示の「適正飼育の三原則」を浸透させ、飼い主不明のねこをなくして、餌やりさんが餌を与える必要のない「地域作り」に力を貸していただけないでしょうか。

 長崎市の町ねこを幸せにできるのは、市民一人一人の働きかけの積み重ねに他ならないのです。

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長崎大学ねこ事情

 長崎大学文教キャンパスは、中央部のおよそ4ヘクタールほどの部分に、およそ50~60匹前後のねこが暮らしています。車通りは制限されており、暑さ寒さを避けるためのスペースも適度に確保できるため、比較的まちねこにとっては暮らしやすい場所と言えます。

 しかし、特に不妊化手術が施されておらず、毎年繁殖期になると子ねこの姿を散見するにもかかわらず、トータルのねこの頭数は大幅に増加することがありません。少し詳しい数字を上げましょう。2010年夏から2011年夏までの約1年間に、新たにキャンパス内にデビューした子ねこは37匹。このうち、2011年12月の1ヶ月間に1度でも見かけたのは13匹に過ぎません。実に65%の子ねこが、1歳になるかならないかで姿を消していることになります。人の目に触れる前に幼くして亡くなる子ねこを加味すれば、この比率はもっと跳ね上がります。

 また、ひどく痩せる・咳き込む・鼻が詰まって効かなくなる・毛づやがなくなるなど、明らかに体調を崩したねこがそのままふっつりと現れなくなるケースは2011年1~12月の1年間に5匹、不幸なことに車にはねられて亡くなったとはっきりわかっているねこも1匹います。

 キャンパス内のあちこちで昼寝をしたり、学生にごはんをねだっているねこたち。一見なにげないように見える彼らの本当の暮らしは、実際は思った以上に苛酷なものなのです。

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のらねこはじまり物語

 時は奈良時代、ありがたい経典をネズミから守るために中国からやってきたねこ。舶来高価なねこは高貴な方々の愛玩動物として、ひもに繋がれて飼われていました。

 時は下って江戸時代、庶民にも広く愛されるようになったねこですが、相変わらずひもに繋がれて飼われておりましたところ貞享2年、あの有名な「生類憐みの令」によりねこのつなぎ飼いが禁止され、晴れてねこは往来を闊歩する自由を肉球につかみ取りました。

 さらに時は下り明治32年、ペストの日本上陸にあたり日本細菌学の父、北里柴三郎氏は政府に「すべての家で必ずねこを飼うべし」と進言。これを受けて明治42年、警視庁は「管下一般ニ対シ飼猫奨励ヲ告知ス」と告諭をするに至り、ねこのおかげか伝染病予防法のおかげか急速にペストの勢いは減少し、昭和5年完全に撲滅されたのです。

 しかして一家に一匹ねこ運動のあと、残されたねこたちはと言うと一般家庭、とくに農村部においては昔と変わらず一定の距離をもって人と共生してきましたが、ここ数十年の急激な社会環境、住環境の変化に伴い、悲しいかな益獣から害獣扱いされるようになったのであります。

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語り継がれる猫の民話

 猫の民話は、ほぼ全国にわたって残っていますが、数は多くありません。猫にはめずらしい恩返し、猫と犬の知恵比べ、猫のいたずらと、結末は同じでも地域によって話の中身が異なるものもあり、猫は化けるだけでなく、結構楽しませてくれます。

 

猫の民話タイトルリスト

  • 猫神さま(佐世保市)『長崎の伝説』
  • 犬ッコと猫とうろこ玉(岩手県稗貫郡)『日本昔話百選』
  • 猫と狩人(山梨県西八代郡)『日本昔話百選』
  • 猫と南瓜(島根県隠岐郡)『日本昔話百選』
  • 猫檀家(広島県比婆郡)『日本昔話百選』
  • 猫の審判(三重県津市)『日本の民話13』
  • 猫の恩返し(徳島県鳴門市)『日本の民話19』
  • ねこの王様の家(熊本県阿蘇郡)『日本の民話22』
  • 猫は内、犬は外(鹿児島県屋久島)『日本の民話25』
  • 猫とカボチャ(鹿児島県屋久島)『日本の民話25』