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ねこ島の幸せなねこたち

 福岡県に「ねこ島」と呼ばれる島があるのをご存じですか? 福岡県新宮町にある相島(あいのしま)は万葉集や続古今集にも歌われた歴史ある島であると同時に、「ねこ島」と呼ばれるほどたくさんのねこが住んでいることでも知られています。1~2時間もあれば1周できるほどの島内に200匹以上のねこが住んでいた時期もあったそうですから「ねこ島」と呼ばれるのも納得です。

 不漁によるエサ不足でねこの数は以前より少なくなりましたが、それでも観察会当日は30匹を超えるねこたちに会うことができました。

 波止場や海岸、道路の真ん中、トラックの荷台……ねこたちは思い思いの場所でのんびりと過ごします。撫でてもらおうと、鳴きながら近寄って来るねこもいました。

 これだけ数が多いとトラブルも気になるところですが、トゲトゲなどのねこ避け対策もほとんど見かけず、ねこによるいたずらにひどく困っているという声も聞かれませんでした。

 島の方に「ねこを飼っている人はいますか?」と聞いてみました。すると「ねこはそこらへんに散らばっとる」という返事。島の人にとってねこは「飼う」のではなく、共に暮らす「仲間」なのかもしれません。ねこのエサは魚のアラや残り物など、島の人たちはキャットフードをわざわざ買ってまであげることもなく、ねこがケガや病気をしても島外の動物病院まで連れて行くことはなさそうです。しかし、どこにどんな色や柄のねこがいるのか、島の人たちはよく知っています。ねこについて語る口ぶりがとても暖かく、ねこが大切にされていることを感じました。

 相島のねこたちは空気のように人の暮らしに溶け込み、人とほどよい距離を保ちながら生きています。このような人とねこのつながりは、ねこにとっても幸福なことかもしれないと思いながら、島を後にしました。

浜田 ひさえ

相島のしまねこ観察会は、2013年11月16日(土)に開催。長崎、福岡、北九州、宮崎から集まった参加者は17名。20数年前に相島でノラネコの観察、研究をされた山根明弘さんにご案内いただきました。

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