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長崎市の町ねこは幸せか?

幸せなの? 不幸なの?

 この冊子を手にした方は「ハンドブックを作ってもらえるなんて長崎市の町ねこは、きっと幸せなんだろうね~」と思われたことでしょう。しかし、現状は、YESでもNOでもないのです。

 まず、当市のねこの致死処分数をご存じでしょうか? 平成22年度、その数は東京都(八王子市と町田市を除く)とほぼ同数に至るのです。「そんなバカな。だったら不幸じゃないか!」

 確かに数字上は不幸です。しかし、そのことは、長崎の市民性とも言える、ねこを可愛がる方が多いことも示しているのです。「いったいどういうこと?」

 

餌やりさんとねこ困りさん

 通称「餌やりさん」と呼ばれる、餌にありつけていないであろうねこを見ると、たまらなくなって餌を与えてしまう方が一方にいます。そしてもう一方には、糞尿等の被害を受けて困っている方、つまり「ねこ困りさん」もいます。長崎市にはどちらの方もたくさんいます。

 両者は長年の反目の末、次のような二通りの結果に至ります。ねこ困りさんの抗議に耐えられなくなった餌やりさんが、やむなく自分でねこの引き取りを行政に求めるケース。逆に、抗議の声は届かず、糞尿等の被害がエスカレートして耐えられなくなったねこ困りさん側が引き取りを求めるケース。これらが致死処分数を押し上げているのです。

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「無関心」が不幸を招く

 それでは、ねこ困りさんは愛猫家にとってねこ嫌いの、すなわち敵なのでしょうか? いいえ、そうではありません。ねこに関心を抱き、問題を顕在化させ、正しい飼い方を気付かせてくれる存在なのです。

 死後福者となられたマザー・テレサは生前、「愛する」の対義語は「嫌う」ではなく「無関心」だと仰いました。近年、他者への無関心が地域社会の崩壊を招いているとの指摘があります。地域におけるノラネコの増加は、餌やりさんの存在だけが原因ではなく、地域社会で孤立した単身者・高齢者が飼養困難となった末に放し飼いしてしまうこともまた大きな要因の一つなのです。

 

幸せにできるのは誰?

 本冊子を手にされた方は、既に無関心ではないはずです。(1)室内飼い (2)不妊手術の実施 (3)所有者明示の「適正飼育の三原則」を浸透させ、飼い主不明のねこをなくして、餌やりさんが餌を与える必要のない「地域作り」に力を貸していただけないでしょうか。

 長崎市の町ねこを幸せにできるのは、市民一人一人の働きかけの積み重ねに他ならないのです。

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