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町ねこ通信 報告(通巻10号)

image002 町ねこクラブの小町です


長崎伝習所「長崎の町ねこ調査隊塾」主催公開講演会
「町ねこ調査を始めよう! 」
講師:山根明弘氏(北九州市立いのちのたび博物館 学芸員)

公開講演会「町ねこ調査を始めよう!」は

2011年6月12日(日)14:00~16:00、

メルカつきまち(長崎市築町3-18)において開催されました。

町ねこ通信通巻10号は、この講演会をレポートします。


12日、長崎は朝から“バケツをひっくり返したような”

という表現がぴったりの大雨。

講演会に人が集まるだろうか、そればかりを心配していたのは

まだ甘かった!

講師の山根明弘さんを出迎えに長崎駅へ向かうと、

何と駅のホームが水没、辛うじて残っているひとつのホームを

使って列車の発着が行われている。

しかも山根さんを乗せた列車は、途中を徐行運転中とのこと。

講演会が始まる時刻より早めに長崎へ来ていただくようにしていたものの

はたして、山根さんは間に合うのだろうか。

ほんとうに列車は長崎まで来るのか?

そして、80分近く遅れて、やっと山根さんを乗せた列車が長崎駅の

ホームに到着。

遠くから見えてくる特急列車のヘッドライトの明るい光が

あんなに美しく見えたのは人生初の経験でした。

山根さんも長い列車の旅でお疲れだったはずですが

予定時刻には会場入りしていただきました。

参加者も、大雨で道路冠水もあっている中、

40名近くが集まっていただきました。

いよいよ、講演会が始まります。

まずはねこの分類から、お話が始まりました。

カイネコ:人間の所有権あり。

ノラネコ:人間の所有権はないが、人間の生活に依存している。

ノネコ:人間の所有権もなく、人間の生活に依存していない。(たとえば無人島にいるねこやオーストラリアで野生化しているねこ)

カイネコは、完全室内飼い と 家の外に徘徊が可能なねこ に分けられる。

そして、家の外に徘徊可能なカイネコとノラネコを

合わせて「町ねこ」と呼ぶのはとてもいいことではないかと

言っていただきました。

 

第1部     相島でのノラネコ調査

相島は玄界灘に浮かぶ小さな島(面積125ヘクタール)で

山根さんが調査された20年ほど前は人口500人あまり、

島のほとんどの人が漁業で生計を立てていました。

山根さんはこの相島に7年間通い、あるいは住み込み、約200匹のねこを調査され、

今でもこのねこたちは鮮明に覚えていらっしゃるそうです。

魚が獲れれば、魚のアラ(骨や内臓、皮など)が大量に捨てられ、

それをねこが食べ、きれいに片づけてくれる、

ある意味で人とねこが共生している島かも知れない。

(講演会のアンケートにも「相島のような所のねこは幸せだな」書いてありました。)

山根さんはこの島でねこに名前を付けて、そのねこを見つけた場所と時刻、

何をしていたかを記録し、データにまとめられました。

講演会のパワーポイントにもたくさんのねこたちの写真が登場しましたが、

山根さんは、その1匹1匹の名前を今でも覚えていらして、驚きました。

相島のねこと山根さんの深い絆を感じます。

相島でのノラネコ調査については

山根明弘『わたしのノラネコ研究』さ・え・ら書房

に詳しく書かれています。ぜひ、お読みください。

 

第2部     北九州市のネコ実態調査隊

後半は2年前の6月から北九州市で始まったネコ実態調査についてのお話でした。

山根さんは北九州市動物愛護推進員3名のボランティアさんと一緒に

3地区(小倉南区城野・八幡東区春の町・門司区柳町)でネコ実態調査を実施し、

データを蓄積して来られました。

まず、市街地でのねこ調査がどの程度可能なのか(事例がほとんどない)から始まり、

いろいろ心配もされたそうですが、

いざ始めてみると、汗をかいて外で動いている調査員の姿を見て

ほとんどの人が協力的だった。

たとえば、ねこよけのネットを張っているような人でも

「ねこは悪くない、悪いのは人間」と言われたそうです。そして

1)個体数の推定

2)カイネコ(屋外徘徊型)とノラネコの割合

3)様々な事例の蓄積

を目的に今も調査を続けていらっしゃいます。

調査は月に1回~2回。

ほぼ3ヶ月~4ヶ月でねこの個体識別が終わる。

調査対象の3地区はそれぞれ地域の特徴が違い、

街の特徴によって、ねこの生活形態も違ってくる、

それにより行政の対策も立てやすくなるだろう。

 

第3部 これからの課題

1)高カロリーの餌が安価で出回り、不妊手術をしていないノラネコたちは

餌を与えられれば与えられるほど年に何回も出産する。

生まれた子ねこはその後どうなるのか?

側溝で野垂れ死にしていたり、カラスに襲われたりして、

5匹生まれても1年後に生き残るのは1匹くらいだろう。

ネガティブな話題だが、生まれた子ねこの何匹が生き残れるのか、

データを作りたい。

2)調査を続けて行くことのむずかしさ

ともに調査をしている動物愛護推進員の方たちは、

ねこの殺処分を減らしたいという気持ちでネコ実態調査に協力して来られたが、

データを行政に投げかけても、行政は動かない。

財政的なむずかしさもある。そのことでボランティアのモチベーションが上がらない。

データを積んでいってもねこを救えない。

これが今直面している問題点だとおしゃいました。

きれいごとや建て前だけでなく、本音の部分を話していただき、ありがたかったです。

最後に山根さんは

行政は確かになかなか動いてはくれない。

しかし、こうして長崎でも町ねこ調査が始まったように、

この調査が全国に広がり、100の中の5つの自治体でも動いてくれれば、

変化していくだろう、と締めくくられました。

 

この後、15分の休憩をはさみ、その間に参加者に書いてい
ただいた山根さんへの質問を

副塾長の中村淳さんがまとめられ、

山根さんと中村さんの1対1の質問タイムが30分ありました。

質問タイムの内容もおもしろかったのですが、長くなってしまいましたので、

次号に回します。ご期待ください。


講演会の後、山根さんを囲んで懇親会を持つ予定でしたが、

列車の運休が続いているため、今日中に帰られる予定の山根さんは

急いで長崎駅へ向かわれ、ちょうど出発寸前だった上り特急列車に

飛び乗られました。

大雨のために、慌ただしいスケジュールになってしまい、

山根さんにもご負担をかけてしまいました。

またいつか長崎へ来ていただく機会があれば、

その時にはゆっくり長崎の町ねこたちにも

会っていただきたいと思います。

 

山根さんはもちろんのこと、会を運営していただいた塾生のみなさま、

協力していただいたみなさま、ほんとうにありがとうございました。

この場をかりて、お礼申し上げます。

 

長崎の町ねこ調査隊塾

塾長 中島由美子

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