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長崎伝習所平成23年度研究成果報告書(1) 塾長コメントと塾概要

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「長崎伝習所」平成23年度研究成果報告書ができあがりました。「長崎の町ねこ調査隊塾」のほか、「ナガサキポルトガルシルシル塾」「長崎ビューポイント探訪塾」「坂のまち長崎なのに自転車塾」「孫文・梅屋庄吉と明治大正長崎事情塾」「在京長崎うまかもん塾」「『エコ名人を探せ』塾」「川さるく森川里海塾」「長崎洋館音楽舞踏塾」の研究成果報告、それに、長崎伝習所つながり事業(まちコツアカデミー事業・まちづくりリーダー育成事業・特別講座(自分新化講座))の成果報告など、A4判152ページからなります。市民活動センター「ランタナ」(長崎市馬町21-1)で配布しています。

そのなかから、町ねこ調査隊塾の部分を抜粋して、何回かにわたってご紹介します。初回は、この塾活動の改めての紹介として、塾長コメントと塾概要から。


■塾長コメント:<少し長い前置き>

ねこを飼ったこともなく、とくべつにねこ好きでもない私でしたが、この1年あまりですっかり“町ねこ”に魅せられてしまいました。ねこは単にねこの世界だけに生きているのではなく、その背景には人の暮らしがあります。ねこと言えどもその奥は深く、町ねこを通して、これまで気付かなかった人と町の新しいつながりを見つけることができました。

「町ねこってなに?」「ねこを調査する? 何のために?」と、よく聞かれます。ねこが好きで集まった塾生も、たぶん同じ気持ちだったと思います。町を自由に歩き回るねこたちの生態を調査する、全国でもほとんど例をみない新しい試みに挑む私たちをリードしてくださったのは、ねこ調査の先達である山根明弘さんです。山根さんをお招きしての公開講演会「町ねこ調査を始めよう!」は、その後の塾活動の指針になりました。ねこ調査や塾活動の詳細については、この後に続くページを読んでいただければと思います。

塾がスタートしたばかりの頃、塾生にとってねこはかわいいだけの存在でした。しかし1年の活動を経て、塾生の多くはねこと地域の関係に思いを巡らすようになりました。そして、長崎の町ねこ調査隊塾は、長崎市以外の活動ともつながり始めています。ねこと人が共に平和に暮らす町をめざして、ねこのようにしなやかに、これからも活動を続けて行きたいと思います。

■塾の目的:<町ねこ調査から見えてくるもの>

・町ねことは?

まちなかで見かけるねこのことです。いわゆるノラネコのほか、家の中と外を行き来する飼いねこも含みます。車の入らない狭い路地、急な坂道や階段など、長崎に点在する独特のまちなみの中を、町ねこたちは自由に歩き回ります。

・町ねこ調査は何をするの?

まず、調査をするエリアを決めます。つぎに1頭、1頭のねこの特徴をカード(ながさき町ねこカルテ)に記入します。それぞれのねこを区別(個体識別)できるようになったら、そのねこを見つけた場所を地図上にマークします。ある程度の期間これを続けていくと、そのエリアのねこの頭数と行動範囲がわかります。

・「餌やりさん」と「ねこ困りさん」

長崎でよく見る車の入らない狭い路地、急な坂道や階段は、ねこにとって安心安全な場所です。そこにはとりわけたくさんのねこたちがいて、ねこスポットになっています。このねこスポットには、ねこをかわいがり餌を与える「餌やりさん」がいます。が、一方には、ねこの糞尿に困っている「ねこ困りさん」もいます。餌やりさんとねこ困りさんの対立は、時としてやっかいなご近所トラブルになります。

・ねこと人が共に平和に暮らす町

ねこは人から餌をもらわなければ生きていけません。人にすがるねこの命を守りたい餌やりさんとねこのいない快適な住環境を望むねこ困りさん、相反する気持ちのどこかで折り合いを付けられないか、その方法をさぐるために、町ねこ調査を生かしたいと考えます。「長崎はねこの多かけん」とよく言われます。それは小さな命を大切にするゆとりが長崎の町にあるからだと思います。このゆとりを生かした町づくり、それも長崎の町ねこ調査隊塾の目的です。

■塾の研究・活動内容

・町ねこ調査(長崎市内における町ねこの調査)

調査場所:寺町周辺、西坂公園、長崎大学構内、住吉町

・公開講演会「町ねこ調査を始めよう!」

日程:2011年6月12日(日)
場所:メルカつきまち(長崎市築町)
講師:山根明弘氏(北九州市立いのちのたび博物館学芸員)

・ながさき町ねこ写真展

日程:2011年8月31日(水)~10月2日(日)
場所:カフェ豆ちゃん(長崎市東古川町)

・北九州市ネコ実態調査隊見学ツアー

日程:2011年9月18日(日)
場所:北九州市立いのちのたび博物館内・門司駅前柳町周辺

・広報活動

『ながさき町ねこハンドブック』作製
長崎の町ねこ調査隊塾のブログの立ち上げ
メールマガジン「町ねこ通信」配信

・新聞各社による報道
  • 2011.5.27『毎日新聞』「街の猫 調査を開始」
  • 2011.6.9『長崎新聞』「町ねこ調査を始めよう!」
  • 2011.8.24『毎日新聞』「気ままに愛らしく 町ねこ写真展」
  • 2011.8.31『長崎新聞』「町ねこの魅力伝える。きょうから写真展」
  • 2011.9.1『読売新聞』「町ねこ写真展 来月2日まで」
  • 2011.9.2『西日本新聞』「人との共存目指し写真展」
・テレビ、ラジオによる報道
  • 2011.8.31 NBC長崎放送
  • 2011.8.31 NIB長崎国際テレビ
  • 2011.9.1 NHK長崎放送局
  • 2011.9.2 KTNテレビ長崎
  • 2012.2.18 NBCラジオ「UP×3」

■塾活動の成果

・町ねこ調査から広がる視点

塾生の視線は、愛らしい存在としてのねこだけではなく、ねこを取り巻く社会環境にも注がれてきました。町ねこの生態調査と合わせて、ねこに対する人の意識調査を始めようとしています。

・命の教育へ

子どもたちにこそ、町ねこ調査を体験して欲しい。ねこの生きる姿を観察することは、命について考えることにつながるのではないか、そんな意見も出てきました。

・ネットワークを結ぶ

 町ねこ調査に関心を寄せる人たちが、少しずつ増えてきています。長崎から町ねこ調査の情報を発信し、そのネットワークを広げて行きたいと思います。

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